現学習指導要領(平成25年度~)
各教科等において,コミュニケーションに関する指導を行う際には?
各教科等において,コミュニケーションに関する指導を行う際には,他者との対話を通して考えを明確にし,自己を表現し,他者を尊重し理解するなど互いの存在についての理解を深めるような言語活動を充実する。
各教科等において,感性や情緒に関する指導を行う際には,体験したことや事象との関わり,人間関係,所属する文化の中で感じたことなどを言葉にしたり,それらの言葉を互いに伝え合ったりするような言語活動を充実する。
ア 互いの存在についての理解を深め,尊重すること
よりよい生活や人間関係を築くためには,自分や他者の思いや考えを共通の目的の下に整理して,互いに理解し合うといったコミュニケーションが重要である。良好なコミュニケーションを図るためには,思いや考えを表現するための語彙を豊かにし,表現力を身に付けることが重要である。また,自分の思いや考えをもちつつそれを相手に伝えるとともに,相手の思いや考えを理解し,尊重しようとすることも大切である。その上で,自分と相手の思いや考えについて,「何が同じ」で「何が異なるか」という視点で整理しながら,相手の話をしっかり聞き取り,受け止めるようにするとともに,納得したり,合意したり,折り合いを付けたりするなど,状況に応じて的確に反応することができるようにすることも大切である。
このため,コミュニケーションに関する指導を行う際には,
(1)語彙を豊かにし,表現力を育むこと,
(2)自分の思いや考えを伝えようとするとともに,相手の思いや考えを理解し尊重できるようにすること,
(3)自分の思いや考えの違いを整理しつつ,相手の話を聞き,受け止めることができるようにすること,
(4)相手の話に対して,状況に応じて的確に反応できるようにすることなどに留意することが大切である。
なお,コミュニケーションについては,主として人間関係の構築等を目的とした活動について整理している。
イ 感じたことを言葉にしたり,それらの言葉を互いに伝え合ったりすること
感性・情緒は,事象との関わりや他者との人間関係,所属する文化などの中で感じたことを言葉にしたり,心のこもった言葉を交わし合ったりすることによって一層育まれていくものである。そのような豊かな感性・情緒を通して,良好な人間関係を築くことにもつながる。
なお,論理と情緒とが対立する問題として捉えられることがあるが,必ずしも適当ではない。物事を直観的に捉えるだけではなく,分析的に捉えることも情緒を豊かにしていく上で有効である。例えば,単に「わぁー,すごい」という言葉だけで感情表現するのではなく,「何が」「どのように」「すばらしい」のかについて,具体的な表現を用いて相互に伝え合うことにより,より細やかな感性・情緒を実感できるようになる。
このようなことから,感性・情緒等に関する指導を行う際,
(1)様々な事象に触れさせたり体験させるようにすること,
(2)感性・情緒に関わる言葉を理解するようにすること,
(3)事象や体験等について,より豊かな表現,より論理的で的確な表現を通して互いに交流するようにすることが大事である。