現学習指導要領(平成25年度~)
学習指導要領の改訂の基本的な考え方は?
(1)改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂
(2)「生きる力」という理念の共有
(3)基礎的・基本的な知識・技能の習得
(4)思考力・判断力・表現力等の育成
(5)確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保
(6)学習意欲の向上や学習習慣の確立
(7)豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実
学力の重要な3つの要素は?
(1)基礎的・基本的な知識・技能
(2)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
(3)主体的に学習に取り組む態度
思考力・判断力・表現力等を育むためには,どのような学習活動が重要ですか?具体的には?
(1)体験から感じ取ったことを表現する
(例)・日常生活や体験的な学習活動の中で感じ取ったことを言葉や歌,絵,身体などを用いて表現する
(2)事実を正確に理解し伝達する
(例)・身近な動植物の観察や地域の公共施設等の見学の結果を記述・報告する
(3)概念・法則・意図などを解釈し,説明したり活用したりする
(例)・需要,供給などの概念で価格の変動をとらえて生産活動や消費活動に生かす
(例)・衣食住や健康・安全に関する知識を活用して自分の生活を管理する
(4)情報を分析・評価し,論述する
(例)・学習や生活上の課題について,事柄を比較する,分類する,関連付けるなど考えるための技法を活用し,課題を整理する
(例)・文章や資料を読んだ上で,自分の知識や経験に照らし合わせて,自分なりの考えをまとめてA4・1枚(1000字程度)といった所与の条件の中で表現する
(例)・自然事象や社会的事象に関する様々な情報や意見をグラフや図表などから読み取ったり,これらを用いて分かりやすく表現したりする
(例)・自国や他国の歴史・文化・社会などについて調べ,分析したことを論述する
(5)課題について,構想を立て実践し,評価・改善する
(例)・理科の調査研究において,仮説を立てて,観察・実験を行い,その結果を整理し,考察し,まとめ,表現したり改善したりする
(例)・芸術表現やものづくり等において,構想を練り,創作活動を行い,その結果を評価し,工夫・改善する
(6)互いの考えを伝え合い,自らの考えや集団の考えを発展させる
(例)・予想や仮説の検証方法を考察する場面で,予想や仮説と検証方法を討論しながら考えを深め合う
(例)・将来の予測に関する問題などにおいて,問答やディベートの形式を用いて議論を深め,より高次の解決策に至る経験をさせる
学習活動の基盤となるものは?
学習活動の基盤となるものは,
数式などを含む広い意味での言語。
いずれの各教科等においても,記録,要約,説明,論述,討論などの言語活動を発達の段階に応じて行うことが重要
高校生としての学習活動にふさわしい言語活動とは?
高等学校教育の共通性と多様性のバランスに配慮しつつ,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図り,多様な内容を生徒の実態に応じて様々な方法で学ぶという点から捉える必要がある。高等学校において取り上げる言語活動としては,例えば,次のような点に留意する必要がある。
現代の社会生活で必要とされる実用的な文章を読んで内容を理解し,自分の考えをもって話し合う。
文字,音声,画像などのメディアによって表現された情報を,課題に応じて取捨選択してまとめる。
授業のまとめとして,その時間のポイントなどを説明する。
課題についての自分の考え方を板書し,どのようにすればよりよい考えや表現になるかを考える。
適切な主題を設定し,資料を活用して探究し,考えを論述する。
観察,実験などの結果を分析し解釈して自らの考えを導き出し,表現する。
学習の成果を互いに伝え合ったり,助言し合ったりして,新たな追究に向かう。
自己評価や相互評価を通して,自己の変容を確認する。
共通する家庭科
家庭科においては,学習した知識及び技術を活用して生活に関わる諸問題を解決する能力を育む観点から,実践的・体験的な学習を通して衣食住,家族,保育,消費,環境など家庭生活の様々な事象の原理・原則を科学的に理解する学習活動や,それらに関わる知識と技術を実際の生活上の意思決定や問題解決に活用するなどの学習活動を充実する。
特に,学習した知識と技術を生かして,自己の家庭生活や地域の生活と関連付けて生活上の課題を設定し,解決方法を考え,計画を立てて実践することを通して生活を科学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせることを目的とする,「ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動」を充実する。
○ 合理的な判断力や創造的思考力,問題解決能力の育成を図るため,衣食住などの生活における様々な事象や科学性を説明する活動や判断が必要な場面を設けて理由や根拠を論述したり,正解が一つに絞れない課題を考える際,最適な解決方法を探究したりする学習活動を充実する。
○ 乳幼児との触れ合いや高齢者との交流等を通して自己の考えを明確にし,自己を表現し,他者を理解し,他者と意見を共有し,互いの考えを深めることなどの協同的な関係を築く学習活動を充実する。
○ 衣食住などの生活における様々な事象やものづくりなどに関する実践的・体験的な活動を一層重視し,その過程で様々な語彙の意味を実感を伴って理解させる学習活動を充実する。
専門学科において開設される家庭科
◎主として専門学科において開設される各教科のうち職業に関する各教科
<家庭>
家庭科においては,生活産業への消費者ニーズの的確な把握やサービス提供等を行う企画力・マネジメント能力を身に付け,生活文化を伝承し創造する人材を育成する観点から,衣食住,ヒューマンサービスなどの各分野における基礎的・基本的な知識,技術の定着を重視するとともに,就業体験等,実社会や職業との関わりを通じて,コミュニケーション能力等に根ざした実践力を高める学習活動を充実する。
○ 「課題研究」においては,調査,研究,実験,産業現場等における実習,作品製作等の成果や課題について報告書の作成や発表を行う,文章や資料等を読んだ上で,知識や経験に照らして多面的・多角的に自分の考えをまとめて論述するといった学習活動を充実する。
○ 子どもや高齢者に関する情報を的確に理解したり,自分の考えを適切に伝えたりするなど,生徒が主体的に考え,討議し,発表し合う等互いの考えを深める上で必要なコミュニケーション能力を高める学習活動を充実する。
○ 自分の考えや与えられたイメージを,創意工夫したりアイディアを生かしたりするなど,適切な表現方法により創造的に製作するなどの学習活動を充実する。
国語力は?国語科は?各教科等では?
「国語力」は「すべての教科の基本」と位置付けられていた。
新しい学習指導要領では,言語に関する能力を育成する中核的な存在が国語科。
国語科においては,これらの言語の果たす役割を踏まえて,的確に理解し,論理的に思考し表現する能力,互いの立場や考えを尊重して伝え合う能力を育成することや我が国の言語文化に触れて感性や情緒を育むことが重要。
そのためには,「話すこと・聞くこと」や「書くこと」,「読むこと」に関する基本的な国語の力を定着させたり,言葉の美しさやリズムを体感させたりするとともに,発達の段階に応じて,記録,要約,説明,論述,討論といった言語活動を行う能力を培う必要がある。
国語科以外の各教科等においても,国語科で培った能力を基本に,それぞれの教科等の目標を実現する手立てとして,知的活動(論理や思考)やコミュニケーション,感性・情緒の基盤といった言語の役割を踏まえて,言語活動を充実させる必要がある。
各教科等の指導の留意点
各教科等の指導に当たっては,児童生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫することが重要である。
その際,自校や他校においてこれまでに実践された優れた言語活動の指導事例を参照することも有効である。
語彙や表現を豊かにするために適切な教材を取り上げること,教育活動全体を通じた読書活動を推進すること,学校図書館を計画的に利活用すること,学校における言語環境を整備することなどにも留意することが重要である。
従来の「思考・判断」を「思考・判断・表現」と改めた?
各教科の内容等に即して思考・判断したことを,表現する活動と一体的に評価する観点(以下,「思考・判断・表現」とする。)を設定することとし,観点別学習状況の観点については,従来の「思考・判断」を「思考・判断・表現」と改めることとした。そして,この「思考・判断・表現」の観点については,基礎的・基本的な知識・技能を活用しつつ,各教科の内容等に即して思考・判断したことを,説明,論述,討論等といった言語活動等を通じて,思考・判断の過程を含めて評価するものであることに留意する必要があるとしている。