現学習指導要領(平成25年度~)
家庭に関する各学科における教育課程の編成・実施に当たっての配慮事項は何か
1 学科の目標,地域や学校の実態及び生徒の特性,進路等に応じて,適切な科目を選定し,履修単位数を定める。
2 専門教科・科目について,すべての生徒に履修させる単位数は,25単位を下らないこと。
ただし,専門教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合は,5単位を限度として,そ
の専門教科・科目以外の科目を専門教科・科目の履修として認める。
3 基礎となる内容をもつ科目は低学年において,応用的,専門的,高度な内容をもつ科目は
高学年において履修させる。各教科・科目等について相互の関連を図り,発展的,系統的な
指導ができるようにする。
4 専門教科・科目の履修によって,必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合は,その専門教科・科目の履修をもって必履修科目の履修の一部又は全部に替えることができる。「生活産業情報」を「社会と情報」などに,「公衆衛生」を「保健」に代替すること
が可能である。実施に当たっては,目標や内容,代替の範囲などについて十分な検討を行う
必要がある。
5 「総合的な学習の時間」の履修により「課題研究」の履修と同様の成果が期待できる場合,または,「課題研究」の履修をもって「総合的な学習の時間」の履修と同様の成果が期待できる場合は,それぞれの履修をもって「課題研究」または「総合的な学習の時間」履修の一
部又は全部に替えることができる。ただし,「総合的な学習の時間」の履修によって,「課題研究」の履修に替えた場合は,「課題研究」の履修そのものは行っていないので,専門学
科における専門教科・科目の必要単位数に含めることはできない。
6 実験・実習に配当する授業時数を十分に確保する。
7 生徒の実態に応じて,各分野における基礎的又は中核的な科目を重点的に選択し,その内容については基礎的・基本的な事項が確実に身に付くように配慮する。
8 地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験を積極的に取り入れる。なお,就業体験をもって実習に替えることができる。
9 衣食住,保育,家庭看護や介護など,人間の生活に最も密接にかかわる生活産業に従事する者としての高い規範意識や倫理観を兼ね備え,かつ人間性豊かなスペシャリストを育成できるよう道徳教育との関連を図る。
家庭に関する各学科における指導計画作成に当たっての配慮事項は何か
1 「生活産業基礎」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させる。科目の性格
やねらいなどから,「生活産業基礎」は低学年で,「課題研究」は高学年で履修させる。
2 家庭に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当する。また,実験・実習に当たっては,10分の2以内をホームプロジェクトとして実施することができる
が,その場合は,指導計画に位置付けて計画的に実施しなければならない。
3 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師等を積極的に活用するなどの工夫に努める。地域や産業界との協力関係を確立するためには,学校の教育力を地域に還元する努力も重要である。
4 コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高める。
5 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理
に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意する。
実験・実習を行うに当たっての配慮事項は何か
改訂された指導要領では,「関連する法規等に従い」が追加された。校外に出て調査・研究・実習などを行う場合には,事故防止や安全管理に配慮し,指導計画を綿密に作成し,生徒が高校生としての自覚と責任をもって行動し,所期の目的が効果的に達成されるよう,生徒指導にも十分留意しなければならない。
「フードデザイン」の食育と「課題研究」の食育の違いは何か。
「フードデザイン」は,食育の推進を図る視点から従前の内容に食育の意義と食育推進活動を追加し,目標に「食育の推進に寄与する能力と態度を育てる」ことを明記した。
「(4)食育と食育推進活動」では,食育の意義や家庭や地域における食育推進活動を扱い,食育基本法や食育推進基本計画の趣旨を十分に理解し,家庭や地域において進んで食育の推進に寄与することをねらいとしている。
「課題研究」は,「(1)調査,研究,実験」に食品のルーツ,地域の食育活動,諸外国の食
育などの内容を,「(3)ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動」に地域の子どもや高齢者
などを対象とした食育を推進する活動を追加した。「課題研究」は,「課題の解決を図る学習
を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる」ことを目標としている。
人間の生涯にわたる発達とは?
人間が生まれてから死ぬまでの間,身体的,精神的に変化し続け,各ライフステージの課題を達成しつつ発達するという生涯発達の考え方
人の一生という時間の経過を時間軸としてとらえるとともに,生活の営みに必要な金銭,生活時間,人間関係などの生活資源や,衣食住,保育,消費などの生活活動にかかわる事柄
を空間軸としてとらえ,各ライフステージの課題と関連付けて理解させることが重要
生活体験の減少(知識と体験が伴っていない)とは具体的に?
○生活にかかわる技術そのものが年々低下している。
包丁で皮を剥けない,針に糸を通せない,玉結びや玉留めができないなど
高校生段階であれば当然できると思われることができない
○安全衛生に関わる基本的な事項が身に付いていない。
コンロの近くに紙やポリ袋を置く,調理の前に野菜を洗うことを知らないなど
危険を予知して行動することや衛生面の管理ができない生徒が多くなっている
○出来上がりの予想を立てたり手順を考えたりして,合理的に作業をすること
が苦手である。
片付けや洗い物を同時に進めながら調理をすることができない
食材の分量を10倍,10分の1単位で間違っても気が付かない
中表で縫えばできあがりに表が出てくるという感覚がつかめない
○文章を読み取る力が欠如している。
料理のレシピを読み,できあがりまでをイメージする力が弱くなっている
衣服の部分名称や縫い方の名称などはていねいに説明しないと理解できない